生絞り製法
生絞り製法とは?
古来から伝わる生絞り製法
中国の明代・韓国の李朝時代の豆腐作りは、水に浸した大豆を石臼で摺り、これを生のまま布で搾り豆乳を抽出し煮てから、にがりで固める「生絞り製法」でした。
生絞り製法は現在でもこれらの国を始め一部の地方では行われていますが、極めて良い豆乳はとれるが、非能率的であり歩留まりが悪いことから時代の流れとともに衰退し、現在の加熱絞り製法(石臼で挽いた大豆をを煮てから絞る)となりました。
「加熱絞り製法」と「生絞り製法」
加熱絞り製法では、大豆の胚軸や種皮に含まれている不快臭や渋味の成分が含まれるため豆乳に渋味や不快臭が残ります。
また、おからにも不快臭や渋味の成分が有り、成分とともに煮沸していますので、炊き込まなければ不快臭等は消えません。
ところが炊き込むことにより酸化が進み大豆本来の甘味(糖質)や風味が消えてなくなる(煮え過ぎ)とともに、タンパク質・繊維質にも影響を与え、酸化により豆乳に粘りが出ますので、おからに豆乳が付いていきうまく絞れません。濃い豆乳は取れないのです。
一方、生絞り製法では、不快臭や渋味の成分をおからとともに先に取り除き、抽出した豆汁だけを短時間で丁寧に煮沸します。
おからが入っていないため熱の対流が良くさっと煮あがり、煮きむらが無く酸化の少ない良質な豆乳(粘りの少ない濃度の濃いい豆乳)になります。良質な豆乳から大変美味しいお豆腐が生まれ、甘味のある生絞り味と風味が生きたお豆腐になるのです。
生絞り製法は、すばらしい装置を使った製法で、大変良いお豆腐が出来る反面失敗すると豆腐にならないという事で、現在この「生絞り製法」を行っているのは全国でもごくわずかです。
煮沸絞り | 利点 | 作業性が良い |
欠点 | 煮えむら、渋味、不快臭が出ます。 これを解消する為には煮込まなければなりません。 煮込むと豆腐が粘り、味と風味が無くなります。 |
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生絞り | 利点 | 煮沸絞りの欠点をすべて克服出来、風味豊かな美味しい豆腐ができます。 |
欠点 | 機械の操作が非常に難しい。 |